一連の話を聞いた、堤エステートの堤猛雄は、
不動産屋の怠慢やリフォーム会社の手口、
そして状況が悪くなると見放す銀行に対し、
同じ不動産を扱うものとして腹立たしさを隠しきれませんでした。
ご夫妻の最終的な希望は、この状況を改善して、
まずは小さくても安心して暮らせる住まいに移りたい…、
というものでした。そんな願いを叶えて差し上げたい。
しかし資金はほとんどなく困難の多いこの物件、
どうしたらいいのかは、まだ分かりませんでした。
なかなか解決策が見つからず、まずは資金の見直しを図りました。
ご夫妻は、堤エステートによるアドバイスを受け、
取引銀行と交渉を重ね、何とか200万円の予算を確保しました。
しかし200万円でできることは限られています。
もっと何か方法があるはず。焦りと苛立ちの中、時間が過ぎます。
そんなある日、堤エステートに以前に仕事を共にした、
女性建築家の宮城雅子から連絡がありました。
宮城雅子は、自身で建築事務所を主宰しており、
堤エステートとは2007年に、愛宕浜の高層マンションの
リノベーションで縁があり共に仕事をしました。、
彼女は建築だけでなく、様々なイベントのプロデュースも
行っています。2008年4月末には、期間限定のイベント "
こどもcafe"を成功させています。一回りも二回りも
大きくなった彼女と久しぶりに話して、ひらめきました。
「彼女を巻き込もう!」
後日、来社した彼女に今までの経緯を説明。
一度物件を見てもらい、アイデアをもらえないかと相談しました。
すぐに物件の予想以上に厳しい現状を確認し、オーナー夫妻と対面。
宮城雅子は、自分の母親と変わらない年齢の
かわいらしいF夫人が笑顔を失ったまま俯いている姿に、
居ても立ってもいられなくなりました。
「きっと建築士さんに何を言われるのだろう…とご不安なんだろうな…、
これは何とかしなくては…!」そう思った彼女は
気付いたら言ってい ました。
「大丈夫です、任せて下さい!」
もちろん、その時に再生の方法など見つかっていませんでした。 |